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- 多焦点眼内レンズ
眼内レンズとは、白内障手術時に濁った水晶体を取り出し、代わりに眼の中にいれるレンズのことです。
眼内レンズには調節力がありませんので、通常の眼内レンズ(単焦点眼内レンズ)では焦点の合う範囲が限られていました。そのため、通常眼鏡が少なくとも1つ必要となります。
一方、多焦点眼内レンズは遠方と近方の両方に焦点が合うので眼鏡野仕様頻度を減らすことができます。
ただ全く眼鏡が必要なくなるわけではありません。
見え方の違い
多焦点眼内レンズ
利点 | 眼鏡の使用頻度が減る |
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欠点 |
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適した人 |
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不適な人 |
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高機能レンズですが、決して単焦点眼内レンズより視力が良くなるわけではありません。
瞳に入ってくる光を遠方用と近方用に分けてものを見るので、単焦点の時より光の量が減ります。また遠方と近方の両方の映像が網膜に映るので脳がそれを選択しなければならず、慣れるのに時間がかかる場合があります。
多焦点レンズにはいくつかの欠点がありますが、実際にはこれらの欠点よりも、遠方近方両方が見える魅力の方が勝っているために、国内外の報告でも、概ね9割強の方が満足をしています。ただ、残り1割弱の不満例の中で、上記の欠点のような現象が認容できず、再手術によって単焦点眼内レンズに入れ替えるケースが、国内では、1.2%程にみられています。
またこれらの欠点は眼鏡により矯正できません。
単焦点眼内レンズ
利点 | 適宜眼鏡を用いることで鮮明に見える |
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欠点 | 裸眼では遠くか近くのどちらかが見えにくく、眼鏡が最低1つ必要となる |
適した人 |
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多焦点眼内レンズの見え方に慣れるまで個人差がありますが、数週間から数か月要することがあります。
しかしレンズの比較で述べたように、コントラスト低下やグレア・ハローがどうしても気になる方がいらっしゃいます。これには個人差があり、術前に予測することはできません。どうしても慣れない人は、単焦点レンズへの交換(再手術)が必要となります。
また患者様の眼が術後目標の距離に焦点が合うように、いろいろな計算式により眼内レンズの度数を計算しますが、人の眼は人間が作った眼ではありませんので、計算による予測と術後の結果が一致しないことがあります。この時には眼内レンズの交換が必要なことがあります。
2020年4月から先進医療の枠から外れました。今後は選定療養として扱われます。選定療養では、対象となる多焦点眼内レンズ手術において、通常の白内障手術部分は保険診療で施行し、『使用された多焦点眼内レンズ代金』と『通常の保険診療で使用する単焦点眼内レンズ代金』の差額+『多焦点眼内レンズ手術に必要な特殊検査代金』が追加費用となります。